高断熱住宅に住むと健康に良い理由と寒い家が健康に悪い理由

【健康にいい家づくりを考える】高断熱住宅と寒い家 家づくり

こちらの記事で家の空気環境が健康に与える影響について書きましたが、今回は家の室温、「温熱環境」が健康に与える影響についての記事になります。

「冬は家の中も寒いもので、厚着をして我慢するもの」と思っている人も少なくありません。
「暖房をした部屋から一歩出ると寒い」、暖房をしている部屋でも「足元だけは寒い」といった温度ムラが
ある場合も多くみられます。

これは、意外にも本州の南側、関東地方以南のほうが、この傾向が強く、寒い地域(東北、北海道)のほうが、寒い季節に家の中は暖かく快適といわれています。

北海道の人は、冬でもよくアイスを食べるという習慣があるのは、家の中が暖かく快適だからです。

この記事では、寒い家が健康に与えるデメリットと、暖かい家のメリットをお伝えします。

私は高断熱・高気密住宅に関連した会社に勤めていますので、そこで得た知識をお伝えします。

足は第2の心臓

日本の住宅性能は残念ながらまだ十分とはいえず、寒い家では、靴下をはいて、さらにモコモコのスリッパをはいていることが多いですね。

なぜ、足元を暖めたほうが良いのか。それは足が血液を送り出すポンプのような働きをしていて、「足は第2の心臓」と呼ばれるほど大事な部分になるからです。

ですので、足が冷えたり、足を動かさないことは血流を悪くしてしまい、全身の血液循環も悪化してしまいます。

また、足の裏には自律神経やホルモンのバランスを整える末梢神経が集中しているため、足の血流が悪くなると「冷え」は全身に広がります。
足元を冷やさないようにすることは、健康に過ごすために大事なことのひとつなのです。

 

寒い家が健康に与える悪影響

では、寒い家が健康にどんな影響を与えるか、国土交通省の調査結果は以下のようになっています。

【住宅内の室温が健康に与える影響について、国土交通省の調査結果】
◆朝の平均温度が低い家に住む人ほど、心筋梗塞などの原因となる動脈硬化が進むリスクが上がる。
◆16°C未満の家に住む人は16°C以上の家に住む人と比べ、心電図検査で異常となる確率が1.8倍高かった。
◆帰宅から就寝までのリビングや寝室の室温が18°C以上の家と比べて、18°C未満の家では肩こりを感じる人の割合が3.2倍になった。また、腰痛を感じる人の割合も2倍に増えている。

国土交通省HP「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する調査の中間報告(第2回)

 

他にも寒い家に住むことで以下の健康リスクが高まります。

ヒートショック
夜中に暖かい布団の中から、寒い場所に行く時や、お風呂に入る時(暖かいリビング→寒い脱衣所&風呂場→暖かい湯船)など、急激な血圧の変化により、心臓や血管に負担が掛かり、心筋梗塞や脳梗塞などの引き金になる「ヒートショック」も寒い家に住むことで起こるリスクのひとつです。

頻尿ひんにょう
就寝前のリビングの室温が18°C以上の家と比べて、12~18°C未満の家では1.6倍、 12°C未満の家では3倍も夜間頻尿になる確率が高く、夜間頻尿のせいで、睡眠の質が低下したり循環器系の疾患が多くなったりします。
また夜中の寒く薄暗い中でトイレに向かうため、転倒しやすくなってしまいます。

結露けつろ
結露というと、窓ガラスについている水滴をイメージするかもしれませんが、実は窓だけでなく、家の中の至る所で発生する可能性があります。中でも恐ろしいのが壁の中の結露です。
窓の結露は拭くことができますが、壁の中の結露は知らないうちに発生し、カビ菌が繁殖、カビを餌とするダニが繁殖し、ダニの死骸、糞、カビの胞子が家中を飛び回り、喘息やアトピー性皮膚炎の原因となるのです。

 

暖かい家のメリット

では、反対に暖かい家に住むことでどんなメリットがあるのでしょうか。

暖かい家というのは=【断熱性能が高い家】のことで、「熱を断つ」ということは、家の外の外気温に左右されないことを意味しています。

暖かい家というと冬だけにメリットがあると思いがちですが、家の外の気温に影響されない断熱性能の高い家は夏の暑い時期でも、その能力を発揮します。

酷暑の日に屋根裏がすごく熱くなることがあるのではないでしょうか。
これは外の気温がそのまま家の中に入ってきているためです。

熱中症は家の外で起こるものと思われがちですが、断熱性能が低い家では家の中だからといって安心はできません。

高齢者を中心に熱中症にかかる割合をみると、住宅内が41%と高いことに驚かされます。
( 出典:国立環境研究所 熱中症患者速報ホームページ2010より)

断熱性能の高い家では、今まで説明してきた健康面でのメリットだけでなく、経済面で以下のようなメリットもあります。

  • 省エネで冷暖房費が安くすむ
  • 病気になりにくいので、医療費も少なくてすむ

  

どうすれば暖かくて健康にいい家がつくれる

暖かい家をつくるためには、断熱性能だけを高めればよいと思われがちですが、【こちらの記事】でも説明したように、隙間だらけの家だと暖かくした空気が逃げていき、外から冷たい空気が入ってきます。
そうなると冷暖房費は余計に掛かります。

また、家族がいるリビングだけを暖かくしてもあまり意味がありません。

なぜなら、結露は部屋と部屋の温度差があると発生してしまうためです。

発生した結露はカビになります。
カビはダニの餌になり、ダニの死骸、糞はカビと一緒にアトピーやアレルギーの原因となります。

暖かく健康な家をつくるためには、断熱性能と気密性能を高めて、家全体を暖かくしなければならないのです。

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